奨学金と言えば、成績が良いという条件をクリアすれば、学費が足りない時に穴埋めできる便利なしくみという印象があります
しかし、貰えるばかりではないので、借りたものなら返すことも考えなくてはいけません
そのような借金の返済に苦労している人が一定数いるようです
これは奨学金という制度の大きな課題だと思っています
ならば奨学金など活用すべきではないのかというとそうではありません
今回はそういう話をしたいと思います
奨学金の種類
奨学金と一言で言っても、ある1つのものを指すわけではありません
その運営団体にも種類があります
日本学生支援機構、民間育英団体、地方公共団体、大学や専門学校などです
その中で最もメジャーなのが日本学生支援機構が運営している奨学金です
今回は、この日本学生支援機構の奨学金を前提に話を進めていきます
奨学金そのものの種類もいくつかに分類されます
まず、給付型と貸与型という分類があります
給付型というのはそのまま貰えるものです
一方、貸与型は借りるものであり、当然ながら返済する必要があるものです
さらに、貸与型の奨学金には無利子のものと利子が発生するものがあります
給付型 | 給付奨学金(返済不要) |
貸与型 | 第一種奨学金(無利子) |
貸与型 | 第二種奨学金(有利子) |
どういう人が活用できるのか
奨学金制度を活用するためには、学力基準と家計基準の両方をクリアする必要があります
学力基準では、学業成績が5段階評価で3.5以上あるいは平均水準以上、高い学習意欲を持っている、将来社会で活躍する目標を持っているなどの項目が基準となっています
家計基準では、住民税非課税世帯か否か、収入が〇〇円以下、資産が〇〇円以下などの項目が基準となっています
学力基準・家計基準(奨学金制度の種類と概要ー日本学生支援機構Webサイト)
そして、これらの基準は奨学金の種類によって少しずつ異なっています
第二種奨学金(有利子)<第一種奨学金(無利子)<給付奨学金(返済不要)の順にハードルが上がっていきます
そうすると最も活用しやすいのが第二種奨学金(有利子)となり、そこに課題が集中することになります
奨学金制度の課題
奨学金制度の課題は、なんといっても返済をどうしていくかということです
例えば、大学進学を前提にすると、月額2万円から12万円の奨学金がもらえます
4年間で数百万円になることもあります
実際統計で見てみると、借入総額の平均は310万円、毎月の返済額の平均は15,226円、返済期間の平均は14.5年だそうです
(出所:労働者福祉中央協議会Webサイト~奨学金や教育負担に関するアンケート調査(2022年9月調査))
奨学金の返済義務は進学する本人にあります
金額の大きさもそうですが、返済するのに14年以上かかるということは、すでに子育て世代になっており、子供の教育費に加えて、自分自身の教育費も払っていることになります
家や車のローンを抱えているケースもあるでしょう
これって大変ですよねぇ
相当苦労しています
実際に延滞している人も26.9%もいるそうです
それでも活用すべきなのか
では、そんなに苦労するくらいなら活用すべきではないのでしょうか
仮に奨学金を活用しないとすると選択肢は2つあります
① 他の資金調達方法を考える
② 進学をあきらめる
他の資金調達方法と言えば教育ローンです
金融機関に行くと取り扱っています
教育ローンの借主は親ですので、返済義務も親にあります
そういう意味では若者の負担にはなりませんが、金利が高く、返済負担は奨学金より大きくなります
かといって、進学を諦めるというのはもったいない話です
悩んでいる時点で意欲があるということですから
やはり奨学金の活用です
返済負担がきつくなったら救済策を活用しましょう
減額返還制度と返還期限猶予制度というものがあります
減額返還制度は返還期間は長くなりますが、月々の返還額を少なくする制度です(1/2 or 1/3)
返還期間猶予制度は一時的に返還を待ってもらう制度です(最長10年)
安易に奨学金を利用して借金を抱えてしまうのは良くないのですが、一方で進学を諦めてしまう必要はありません
よく制度の内容を確認して上手く使いましょう
そして進学後に、勉強したことをムダにすることなく、社会人としてステップアップして返済していけば良いと思います
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