書類を両手いっぱいに抱えて会社の階段を降りている時に、足を踏み外して転げ落ちてケガをしたらどうしますか
当然すぐに病院に行くでしょう
そこで自分の健康保険証を出すでしょうか
このケースの場合、業務起因の労災ではないかと思われます
ならば自分の健康保険を使うべきではありません
それってなかなか思いつかないですよね
もっと微妙なケースもあります
これは労災なの?違うの?その境界線はどの辺にあるの?
今回は、労災保険の適用範囲について調べてみました
労災保険の概要
労災保険とは、労働者の保護を目的とした国が運営する社会保険制度の1つです
ここで言う労働者とは、正社員、パート、アルバイトなど雇用形態にかかわらず、労働に対して賃金が支払われている者すべてとなっています
派遣社員の場合は、派遣元の事業所が加入します
保険料は事業主の負担によって全て賄われています
労災に対する補償は会社がすべて負担しますよということです
したがって、業務起因の災害であるのに、健康保険を使って自分が3割負担することはおかしいということです
労災(労働災害)の定義
労災とは、仕事の中で負傷・疾病・障害・死亡につながってしまうような災害のことです
その中でも、業務中に発生したものを業務災害、通勤途中に発生したものを通勤災害と呼んでいます
しかし「業務中」と言っても微妙なものもあります
例えば、昼休みや出張中などです
また、「通勤途中」も然りです
会社から家まで毎日まっすぐ帰るという人もいないでしょう
寄り道は必ず存在します
労災保険の適用範囲を考えるにあたっては、まず労災に該当するか否か、そして業務災害なのか、通勤災害なのかを判定する必要があります
具体例で確認
≪昼休み≫
食堂に向かう途中にエレベーターを使用したが、ドアが故障していて誤作動してケガをした
⇒ 業務災害
仲間とバスケットボールをしていて、誤ってボールが顔にぶつかりケガをした
⇒ 労災ではない
≪出張中≫
宿泊先のホテルでの入浴中に、浴室で滑って転んでケガをした
⇒ 業務災害
宿泊先のホテルから出張先への移動中に、駅の階段で転んでケガをした
⇒ 業務災害(通勤災害ではない)
途中で経路から離れて観光をしている時に、交通事故にあった
⇒ 労災ではない
≪寄り道≫
日常生活で必要な寄り道(コンビニ、スーパー、散髪、病院など)の途中で交通事故にあった
⇒ 通勤災害
会社帰りのプライベートな飲み会で、酔っぱらって転倒してケガをした
⇒ 労災ではない(会社主催で必須参加なら業務災害)
労災保険の適用範囲とは
ケガをする、病気になる、そんな状況は無数に考えられます
その中で、労災か否か、微妙なものは当然存在します
あえて労災保険の適用範囲を定義するなら、こんな感じでしょうか
労災とは仕事中の災害です
仕事中の中には、通勤途中も含まれます
したがって、業務災害と通勤災害の2種類にがあります
業務中でもプライベートなことが原因なら労災ではありません
通勤途中については、日常生活で欠かせない寄り道なら労災ですが、一定レベルを超えてしまうと労災ではありません
判断する際の大事なポイントは、常に労災を疑うということです
まず疑ってみて、そこで明らかにならなければ専門家に相談しましょう
重要なのは複数の目で判断していくということです
まともな会社なら、労災隠しと言われるのは嫌なものですから、微妙なものは労災扱いにするでしょう
しかし、あくまで判定するのは、会社ではなく労基署だということもお忘れなく
コメント