トヨタの社員は、あるいはトヨタグループの社員は、問題解決8ステップが身にしみついています(見たわけではないのですが、そう言われています)
だから強いトヨタがあるのです(本当に?)
トヨタでは、みんながこの問題解決8ステップに沿って仕事を行い、日々改善が進んでレベルアップしているのでしょうか
半分はYes、半分はNoというところでしょう
その理由は、この問題解決8ステップの使い方に起因しています
そんな話を今回はしたいと思います
問題解決8ステップの活用法
問題解決8ステップの各ステップには、それぞれ考え方や進め方がきっちりと決まっています
しかし、仕事において、そのステップの一つ一つを忠実に進めていくというわけではありません
場面場面で、各ステップの考え方のみを頭に思い浮かべながら仕事を進めているというのが実情でしょう
重要なのは、その考え方が常に頭に浮かぶ状態になっているかどうかです
つまり、その思考が習慣となっているか否かです
その習慣を身につけるために、トヨタでは階層ごとに、問題解決8ステップを学ぶ教育プログラムが用意されています
そのプログラムを通して仕事の仕方を教えこむことを狙っているのでしょう
それでは、ステップ一つ一つについて、その内容を説明していきます
ステップ① 問題を明確にする
現状の業務の中に、問題があるのかないのかをはっきりさせます
問題はあるべき姿と現状のギャップから自然と導き出されます
自分が置かれた環境や立場、与えられた使命などからあるべき姿を設定します
ポイントはあるべき姿を、より具体的に、より定量的に表現することです
このステップを通じて、現状に満足せず、常に問題・課題意識を持って業務にあたり、改善思考が養われることになります
ステップ② 問題をブレイクダウンする
ステップ①で導き出した問題を層別しながら、まず第一に解決すべき問題を特定していきます
様々な角度で問題を層別して分解していくことで、優先順位をつけながら、より具体的な問題へとブレイクダウンしていきます
全てのことを総花的に取り組み、成果を小さくしてしまったり、解決までのスピード感がなくなってしまわないように、優先順位をつけて重要なところから取り組むという考え方を身につけていきます
ステップ③ 達成目標を決める
達成目標としての必要な要件は、「いつまでに」「何を」「どのレベルにまでにするか」ということです
これを明確にしておかないと、成果が出たのかどうかが分からなくなってしまいます
どんな仕事をやるにしても、その大小はあれど、目標値を意識しながら進めるというのは必要なことです
成果が明確になるとモチベーションも上がってきます
ステップ④ 真因を考えぬく
ステップ②で特定した具体的な問題に対して、なぜなぜを繰り返しながら、真因を見つけていくステップです
先入観を持たずに、様々な観点から問題が発生している要因を深掘りしていきます
真因まで辿り着かないと、対策をしても問題解決には至りません
常日頃から物事を深く追求しながら仕事を進めていく訓練になります
また、なぜなぜをやる中で前後の因果関係を検証していき、論理的な思考も養われます
ステップ⑤ 対策を立てる
ステップ④で見つけた真因について、その状況を解消するための対策案を検討します
複数の対策案を、効果・コスト・実現性・リスク等の観点で評価して、実行する対策を決定します
どういう場面で判断する場合でも、1つに決め打ちすると判断ミスにつながりやすいものです
比較検討をしながら結論を絞り込んでいくという癖づけが重要です
但し、最後は決断です
時間のかけすぎには注意が必要です
ステップ⑥ 対策をやりぬく
対策をやり切るためにはしっかりとした計画が必要です
行き当たりばったりではゴールに辿り着きません
「誰が」「何を」「いつまでにやるのか」を事前に決めましょう
うまくいかなければ、その都度軌道修正を行いましょう
大きなプロジェクトならしっかりと、小さな業務ならそれなりのラフなものでも良いので、計画を作って進めるようにしましょう
進捗が見えるようになっていると、上司は安心するものです
ステップ⑦ 結果とプロセスを評価する
結果と目標値の差異を確認します
結果が芳しくない場合は、どのプロセスが良くなかったのかを分析すると良いでしょう
結果が良くても悪くても反省することが重要です
プロセスまで踏み込んで考えることにより、次の一手が見つかることにつながります
やりっぱなしではレベルアップもないでしょう
ステップ⑧ 成果を定着させる
せっかく対策して成果が出ているのに、後戻りしてしまわないように標準化を進めるステップです
しくみやルールに落とし込むことが一般的です
会社では人の入れ替わりは当たり前です
誰がやっても同じ成果が得られるしくみ作りを大切にしましょう
もう一度、問題解決8ステップの活用法
もう一度言います
問題解決8ステップの一つ一つを忠実に進めていくケースはほとんどありません
場面場面で、各ステップの考え方のみを頭に思い浮かべながら仕事を進めていくためのツールです
その思考回路を身につけるために、問題解決8ステップの研修も行われています
その研修では、あえて活動内容をA3用紙にまとめさせたり、プレゼンをさせたりして、人材育成のツールそのものになっています
こうしてトヨタは人を育てて強くなっているのでしょう
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