「PBR1倍割れ企業に対して改善を要請する」的な新聞記事がありました
これは東京証券取引所(東証)が出した「資本コストや株価を意識した経営実現に向けた対応について」という内容に基づくものでしょう
確かにこの中で東証は、PBR1倍割れは問題であり、経営者の意識改革と積極的な改善を求めています
新聞やニュースで取り上げられている割に、PBRって何?、1倍割れって問題なの?という人もいると思います
最近パフォーマンスの良かった外国株式にばかり目が行っていましたが、日本市場にこれから何が起きるのでしょう
乗り遅れないように勉強してみました
PBR1倍割れの意味
PBRを日本語で表すと株価純資産倍率となります
その算出式は以下のようになっています
純資産は総資産から負債を差し引いたものですので、企業が解散したときの資産価値ということにもなります
したがって、PBRは株価が企業の資産価値に対して何倍相当なのかを表現しています
これにより、株価が割安なのか、割高なのかを判断する目安とすることができます
PBRは、他社比較をしたり、自社における時系列比較をすることもできますが、絶対値で言うと「1倍」が1つの目安となります
PBRが1倍を割り込むということは、その株を保有するよりも、その時点で企業を解散させて清算した方が良いということを意味します
株主からするとありえないレベルということです
だからニュースになるほどの問題なのです
PBR1倍割れの会社はどれだけあるのか
東証の資料を読むと、プライム市場の50%、スタンダード市場の60%がPBR1倍割れの状態とのことです
プライム市場には上場会社が約1800社、スタンダード市場には約1500社ありますので、合わせて約1800社がPBR1倍割れということになります
プライム市場に上場しているのですから、超優良会社ももちろん含まれています
欧米の会社なら経営者失格と言われるでしょう
改善方策
その分野の書籍を読むと次のような数式が登場します
①株価、②利益、③純資産の中で、企業が自らコントロールできるのは②と③です
①はマーケットが決めるもので、事業活動の結果という側面もあります
③純資産を小さくするには、自社株買いや増配などが即効性がある対策ですが、あくまで一時的なものでしかありません
他に使い道がなくて、お金が余っている成熟期にある企業ならやってもいいでしょう
それよりも事業内容を精査(整理)して、スリム化を図り、より効率的な経営を目指すべきです
成長分野への集中投資により、②利益を増やすことが王道です
これからどうなるのか
まず考えられるのが、自社株買いや増配といった株主サイドに立った施策により、瞬間株価が上がるでしょう
しかし、長続きはしません
次にやるべき成長分野への集中投資というのが厄介なものです
日本企業の苦手なところでもあります
しがらみを断ち切ることがセットとなります
これを実現させた企業が、東証の要請に応え、株主の期待にも応えることになるでしょう
つまり、新しいリーダーが現れて、時代にあった経営をしている企業が生き残り、そうでない企業は、株主からそっぽを向かれ、市場から退場することになるかもしれません
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