所得税の対象となる所得は10種類に分類されます
その中の1つが一時所得になりますが、その名称だけでは何がそれに該当するのか分かりづらいように思います
その適用範囲が広いとなると、FP試験において勉強するのも大変です
しかし、中身をよく確認していくと、勉強すべきなのは特定のものだけのような気がします
FP試験を受験される方に向けて、一時所得について、これだけは勉強しておくべきというものを紹介します
一時所得とは
一時所得は10種類ある所得の1項目です
利子所得 | 配当所得 | 不動産所得 | 事業所得 | 給与所得 |
退職所得 | 山林所得 | 譲渡所得 | 一時所得 | 雑所得 |
その定義は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得となっています
つまり、そこには2つの条件があるということです
✔️ 継続的な商売によるものではなく、あくまで臨時収入であること
✔️ 労働、サービスや資産の売却による対価ではないこと
具体的には、以下のようなものが該当します
懸賞や福引きの賞金品(業務に関して受けるものを除く) |
競馬や競輪の払戻金(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除く) |
生命保険の一時金(業務に関して受けるものを除く)や損害保険の満期返戻金等 |
法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの、継続的に受けるものを除く) |
遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等 |
資産の移転等の費用に充てるため受けた交付金のうち、その交付の目的とされた支出に充てられなかったもの |
税額の計算方法
基本的には以下のような算式で税額は計算されます
総所得に含める金額 ☓ 税率
≪総所得に含める金額≫
(総収入額 ー 収入を得るために支出した金額 ー 特別控除額(最大50万円))☓ 1/2
収入=所得というわけではありません
保険などは支払った保険料があるわけですから、それは差し引くことができます
更に、特別控除として最大50万円を差し引くこともできます
更に更に、総所得に含めるのはその半分(1/2)です
これでかなり母数が小さくなりますね
≪税率≫
一時所得は総合課税ですので、他の所得と合算されたあとの合計額で税率が決まってきます
所得税ですので、その税率は5%〜45%と幅があり、人によって異なります
知っておきたい個別論点
懸賞金と宝くじの当せん金
懸賞金と宝くじの当せん金は似たような臨時収入です
当たればラッキーというものです
しかし、懸賞金は一時所得ですが、宝くじの当せん金は非課税です
宝くじは、その収益金の一部が自治体に収められています
つまり、購入するときに税金を払っているのと同じです
だから当たっても非課税となるのです
ふるさと納税の返礼品
ふるさと納税の返礼品も、場合によっては一時所得となります
意外かもしれません
ただ、特別控除があるので、50万円以上の返礼品、寄付金額でいうと約167万円相当となります
そんなにふるさと納税をする人もいないでしょう
ふるさと納税はあくまで寄附ですので、返礼品はその対価ではなく、臨時収入となるのです
満期保険金
保険に加入して満期でもらう保険金は、加入期間中に保険料が運用されていますので、保険料の払込総額より多くなることがあります
その差額分には税金がかかります
解約返戻金も同様ですが、解約の場合は保険料の払込総額より多くなることは稀です
FP試験では覚えるのは1つだけ
懸賞金などはそもそも当たりません
ふるさと納税もありえないような金額です
そうすると覚えるのは保険関係だけでしょう
まず、所得税の対象となるのは契約者と受取人が同一の場合です(契約者と受取人が異なると贈与税や相続税の対象になってしまいます)
契約者 | 被保険者 | 受取人 | 税金の種類 |
夫 | 夫 | 妻 | 相続税 |
夫 | 妻 | 夫 | 所得税 |
夫 | 妻 | 子 | 贈与税 |
自分で保険料を支払って自分で受け取るということは、貯蓄タイプの保険がメインとなってきます
すると、養老保険・学資保険・個人年金保険などが対象となってきます
また、死亡保険金であっても、例えば夫が契約者となり、妻に保険をかけて受取人が夫なら一時所得ということになります
反対に、保険関係であっても、一時所得にならないものを説明しておきます
非課税
医療保険の入院・通院給付金は実費の補償であり、就業不能給付金などは生活費の補償の位置づけです
火災保険や自動車保険の保険金は損失補填の意味合いです
いずれも利益を得ているわけではないため非課税となります
雑所得
個人年金保険などで、一時金で受け取るか、年金形式で受け取るかを選択できる保険の場合は、年金形式を選択すると一時所得ではなく雑所得に該当します
金融類似商品
これは一時所得なのかもしれませんが、総合課税の対象にならないという点では、他の一時所得とは区別する必要があります
一時払いの保険で、保険期間が5年以下もしくは5年を超える場合であっても5年以内に解約したものは、金融類似商品という扱いになり源泉分離課税となります
一時払養老保険・一時払変額保険・一時払個人年金保険・一時払変額個人年金保険などが該当してきます
FP試験でも総所得金額を求める問題が出題されますが、そこに含める必要はありません
≪最後に≫
覚えるのは1つだけと言いましたが、それが結構複雑な内容ですので、簡単というわけではなく、ここだけに集中して覚えて下さいということです
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