【不動産投資における投資判断方法】IRRと他の方法の使い分け

E 不動産

不動産投資を勧められて、その話に乗っかるかどうかをどうやって判断すれば良いのでしょう

簡単に言えば、いくら払っていくらもらえるのか、それを計算すれば答えは出ます

これを不動産投資の採算性検証と言います

その検証方法の1つがIRR法です

あまり聞きなれないですよねぇ

本当に有効な方法なのでしょうか

その意味や使い方を理解しつつ、実務的には他の検証方法との使い分けを推奨します

一般的な採算性検証方法

一般的に不動産投資の採算性を考えるのであれば、その投資から得られるキャッシュフロー何年分で投資金額が回収できるかを考えればよいということになります

このキャッシュフローは、毎月あるいは毎年の収入である不動産賃貸料から税金や修繕費用などの支出を差し引いたものになります

投資金額をキャッシュフローで割ることにより、収入が何年後に支出を上回るかを算出することになり、これを回収年数と言います

(具体例)
・初期投資額:1000万円
・不動産賃貸料:300万円/年
・固定資産税:20万円/年
・修繕費:30万円/年
⇒回収年数:1000万円÷(300万円ー20万円ー30万円)=4年

この回収年数が短ければ短いほど採算性の良い投資ということになります

このような検証方法を回収期間法といいます

世の中の状況が変化したり、自分が所有する不動産の価値が変わらないうちに投資額を回収したいものです

しかしこの方法の問題点は、お金の時間的価値が考慮されていないということです

初期投資の支出は初年度に出ていきます

一方、その投資から得られるキャッシュフローは、何年かかけて入ってくるものです

後から入ってくるキャッシュフローは、時間的な価値が低いと言えます

その問題点を解消するための方法がIRR法なのです

IRR法とは?

まず理解しなければならないのは、現在の100万円と1年後の110万円は、割引率が10%の場合は同じ価値であるということです
言い換えると、10%の運用が可能なら、現在の100万円は1年後に110万円になります

IRRとは、Internal Rate of Returnの略であり、日本語では内部収益率と訳されます

IRRは簡単に言うと、お金の時間的な価値を考慮して計算した投資利回りのことです

将来得られるキャッシュフローをどれだけの割引率で割り引けば初期投資額と一致するかを計算したものです(初期投資額=将来キャッシュフローの割引現在価値の総和

IRRは、Excel関数を使うと簡単に算出することができます

このように算出した、IRRが期待収益率を上回っていれば、その不動産投資は採算性があるということになります

この指標は、考え方としては理にかなっていると思います

しかし、IRRを算出するための実際の計算式は複雑であり、一般の人がすんなりと理解するのは難しいのではないでしょうか

そこで類似の事例が企業活動の中でも存在するので、そのような企業では、どのようにしているのかを説明していきたいと思います

とある企業での実例

一般的な企業でもIRR法は設備投資などの採算性検証に使われています

しかし、一般企業においてもIRRの考え方が難しいというのは同じです

そこで、設備投資の種類によって採算性検証の方法を分けているという企業もあります

通常の設備投資においては、回収期間法を採用して採算性検証を行っています

投資を検討している部署にとっては、この方法の考え方は簡単で、理解しやすいものであり、日常業務の中で頻繁に使用するには、作業効率の観点からも適している方法だと言えます

しかし、投資額が大きな案件、つまりその企業にとって、戦略的に重要な案件については、経理部などの専門部署がIRR法を活用して採算性検証を行っています

こちらの方が、より正しい評価をすることができるからです

このように、使いやすさと正確性をケースバイケースで使い分けて、臨機応変な対応を企業は行っているのです

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