税金の額を計算するのは税理士の専売特許です
相続が発生すると税額計算を税理士にお願いすることになりますが、その依頼料はかなり高額だと聞いています
しかし、一般の人が知りたいのは、まず相続税を払う必要があるかどうかということです
そして払うとしたらいくらぐらいなのか、そういうことを知りたいのだと思います
そういったニーズに応えるためにも、相続税の計算について、おおよその知識は身につけておく必要があると思います
相続税の計算方法
相続税の納付税額は次のようなステップで算出されます
・Step1:相続税の課税遺産総額を計算する
・Step2:相続税の総額を計算する
・Step3:各相続人の納付税額を計算する
≪Step1:課税遺産総額の計算≫
まず相続を受けた財産のうち、課税対象となるものの合計額を計算します
次に遺産に関わる基礎控除額を法定相続人の人数から計算します
最後に課税対象となるものの合計額から基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を算出します
基礎控除額を算出する計算式は以下の通りです
基礎控除額=3000万円+600万円✕法定相続人の数
≪Step2:相続税の総額の計算≫
相続税の総額は、各相続人の仮の相続税の合計額より算出します
ここでは、各相続人の実際の相続分にかかわらず、各人が法定相続分を取得したと仮定して計算し、その金額を合算します
各相続人の相続税額の計算するあたっては、その相続分に応じて8段階の税率が設定されており、それぞれの税率をもとに計算されることになります
※税率表
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | ー |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
≪Step3:各相続人の納付税額の計算≫
まず相続税の総額を、各相続人の実際の遺産の取得割合に応じて按分し、それぞれの税額を一旦計算します
その後、各個別事情に応じて加算や減算を行い納付税額を算出します
加算する例としては、相続人が被相続人の配偶者や親あるいは子ではない場合の20%加算などがそれにあたります
減算する例としては、配偶者が大幅に税額が軽減される税額控除などがそれにあたります
相続人一人一人の税額を計算した後に、それを合計して、またそれを各人に割り振るという、行ったり来たりで、考え方がいかにもお役所的と感じます(私見)
実際に相続税を計算してみた
≪前提条件≫
・家族構成:夫、妻、子1人(夫が55歳で死亡)
・遺産:(下記表にて表示)
評価額 | 相続割合 | |
預貯金 | 2,000万円 | 妻50%、子50% |
投資信託 | 1,000万円 | 妻50%、子50% |
不動産 | 3,000万円 | 妻50%、子50% |
死亡保険金 | 2,500万円 | 配偶者が受取人 |
死亡退職金 | 1,500万円 | 配偶者が受取人 |
計 | 10,000万円 |
≪Step1:課税遺産総額の計算≫
死亡保険金と死亡退職金には、それぞれに500万円✕法定相続人の非課税限度額が存在します
(非課税限度額=500万円✕2人=1,000万円)
これを含めて、相続割合も考慮した課税対象となるものをまとめ直すと以下のようになります
妻 | 子 | 計 | |
預貯金 | 1,000万円 | 1,000万円 | 2,000万円 |
投資信託 | 500万円 | 500万円 | 1,000万円 |
不動産 | 1,500万円 | 1,500万円 | 3,000万円 |
死亡保険金 | 1,500万円 | ー | 1,500万円 |
死亡退職金 | 500万円 | ー | 500万円 |
計 | 5,000万円 | 3,000万円 | 8,000万円 |
ここから基礎控除額を考慮した課税遺産総額を算出すると
・基礎控除額=3,000万円+600万円✕2人=4,200万円
・課税遺産総額=8,000万円ー4,200万円=3,800万円
≪Step2:相続税の総額の計算≫
各相続人の仮の相続税を計算し、そこから相続税の総額を算出すると
・妻:3,800万円✕1/2✕15%ー50万円=235万円
・子:3,800万円✕1/2✕15%ー50万円=235万円
・相続税の総額=235万円+235万円=470万円
≪Step3:各相続人の納付税額の計算≫
各相続人の実際の遺産の取得割合に応じて、それぞれの税額を計算すると、
妻:470万円✕(5,000万円/8,000万円)=294万円
子:470万円✕(3,000万円/8,000万円)=176万円
妻は配偶者の税額控除があるため、税負担はゼロになります
しがたって、納付税額は子の176万円だけということになります
実際に相続税の計算をしてみましたが、相続税を払わなければいけないということがわかったのは意外でした
相続税なんて資産家だけのもの、という時代ではもうないんですね
皆さんも折角勉強したのであれば、相続税を払わなければいけないのかどうか、払うとしたらおおよそいくらなのかを計算してみると、実感が湧いて良いと思います
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